2011年01月13日
予約制に対する誤解
 先日、近所の歯科医院に行ったが予約制だと断られたという初めての患者さんが来院された。あちこちムシ歯があり咬めないとの事で拝見し応急処置を行った。
 もちろん当医院も予約制である。ここで予約制について誤解があると思われるので少し記しておきたい。
 まず第一が歯科医院側の誤解である。予約制だから診療できないというのは明らかに間違っている。これでは予約制が単に医院側の都合で行われているように患者さんに思われてしまう。
 予約制とは患者さんにとって、治療の待ち時間がなく、効率的に診療を進めていくものであって患者さんにメリットがあるから成り立つシステムなのである。
 新村歯科医院では患者さんの緊急度に合わせて3段階に分けて対応している。基本的には電話での対応となるが、今回のように初めて来院された患者さんも同様に、緊急度に応じ、お待ちいただくか、また別の時間に予約を取っていただくか対応している。来院された時間帯で治療中の患者さんの処置内容によってはどうしてもすぐに応急処置ができないケースもあるからである。
 予約制を行っていくためには歯科医院側の診療方針が大切である。つまり、痛いところだけ、患者さんの気になるところだけを治療し、あとはまた何かあったら来てくださいというのではどうしても緊急処置が増えることとなり、予約時間も守れないこととなる。
 少なくとも全体的に口の中を診査し、その上で総合的に処置を行い、治療が終了した後も定期的な検診を行って、患者さんの口の健康状態を保っていくようにしなくてはならない。そのようにしていくと徐々に緊急治療は減っていく。もちろん患者さんにも、定期的な検診の意味を充分理解してもらう必要はある。それが歯科医院にとっての予防歯科的な対応の第一歩であると考える。
 しかし残念なことに医院の都合で、診療時間の空白を埋めることだけ考えた予約制をとっているところも多い。そのような医院では空白時間をなくすために、過剰な予約数を入れたりし、結果的に患者さんをお待たせすることになり、患者さんも予約時間など政治家の公約程度(今はマニュフェスト)にしか考えなくて簡単にキャンセルしたりする。そうするとそれを見越してまたオーバーブッキングの予約状態を作り出す。これでは悪循環であり、本来の患者さんのための予約制ではなくなってしまう。
 予約制の誤解を解くためには、まず歯科医院側が治療中心の診療から健康中心の診療に変わることが大切だと思う。

 
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