2011年01月18日
コンポジットレジン修復の一手 白い詰め物の話です
 今日はクインテッセンス出版の別冊「日常臨床で必ず使える コンポジットレジン修復の一手」の記事からご紹介したいと思います。
 コンポジットレジンとは主に前歯の小さなムシ歯などに使われる白い詰め物の事です。主に前歯の小さなムシ歯に使われると書きましたが、現在は材料の精度の向上により、奥歯の詰め物に使われたり、前歯のかなり大きな虫歯の治療にも使われるようになってきています。
 また削る器具にも工夫がされ、専用器具によって削る事により、ほとんどのケースで麻酔(注射)をする事なく処置が出来るようになりました。奥歯でも隣接面(歯と歯の間)からのムシ歯は以前はインレーと呼ばれる金属の詰め物をしていましたが、現在多くのケースでコンポジットレジンによって修復をしています。それにより削る範囲が小さくてすむ事、一回の処置で詰められる事。また女性の患者さんにとって、銀色などの金属色でないので、ほとんど自分の歯と同じように見える事など多くの利点があります。

 さて今回クイントの記事から紹介するのは、鶴見大学の秋本尚武先生の書かれている「コンポジットレジン修復の最新の潮流」という記事です。以下
「最後に、最新の知識と技術を持ってう蝕に対して低侵襲で審美的な治療を提供しても、この治療技術は現在の健康保険制度の診療報酬ではまったく見合わない」「私たち歯科医師は患者に最新の情報を伝え、患者の人生と健康に貢献できる最良の治療を提供したいものである。」P30
  CR修復自費料金(鶴見大学歯学部付属病院)
単純修復(隣接面を含まない)15.800円
複雑修復(隣接面を含む)  31.500円 p59

 大学人として、健康保険制度での診療報酬がまったく見合わない事や大学での自費料金について我々臨床家に公開していただいている事はありがたい事だと思う。しかしながら、大学人として、また学界を通じて広く国民にその実態を伝えてほしいと思う。
 ちなみにグーグルで「コンポジットレジン 自費」で検索すると、一面は患者さんの苦情相談か個人の歯科医院の症例紹介だけで、大学や学会でのコメント記事はない。
 私が自費について患者さんに説明しても、理解していただく患者さんは私の事を信頼していただいている方だけで、その家族、友人には必ずしも理解してもらっているとは限らない。単に高い歯医者、もうけに走っている歯医者と思われてしまう事もある。

 是非、大学関係者、学会、そして日本歯科医師会は健康保険制度における診療報酬(治療費)の実態について広く国民に伝える努力をお願いしたい。それが市井で真面目に取り組んでいる多くの歯科医を助ける事になり、結果として国民の健康に貢献する事につながるのだから。
 
 

 
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