2010年12月22日
予防歯科における言葉の力 メタボリックシンドロームから考える
 「最新3DS環境 う蝕ステージ ペリオステージ」武内博朗 早川浩生著 花田信弘監修 デンタルダイヤモンド社刊のなかで「近年''未病''の概念を普及させ、疾病を重症化させない対策が重視されています。生活習慣病を専門とする医科では、メタボリックシンドロームなる強力なコピーを国民に浸透させ予防に取り組んでいます。P13」と書かれています。
 このコピーという表現に大変驚きました。メタボリックシンドロームをコピーという観点から考えた事がなかったからです。
 コピーとは広告表現の事で有名なもののひとつに歯磨き会社の「芸能人は歯が命」というものがあり、その会社は他の歯磨き会社より高いペーストをかなり売り上げ、それだけで一部上場会社になったとも聞きます。このように表現ひとつで人々の行動に大きな影響を与えるのがコピーです。

 さて本書では「う蝕と歯周病を単に口腔の局所疾患と狭く捉えずに、肉眼で観察される高血糖状態、''血管疾患、成人病''などと認識したうえで、診療の中で生活習慣指導を取り入れると、さらに国民から評価されるかもしれません。」と書かれています。
 また従来の検診が早期発見、早期治療の考えで行われていたのに対し、これからはリスク発見とリスクコントロールのための定期検診に変えるよう再考の必要がある事などが書かれています。
 本書が届く、二日程前に来年の定期検診のはがきの内容をリスクコントロールのための検診と変えたばかりであったので、その事にも共感を覚えるとともにいかに患者さんに予防と定期検診の重要性を訴えるか。そのためにはどのようなコピーがいいか。年末年始の休みにしっかりと考えてみたいと思います。

 本書は3DSの事について書かれた本ですが、予防歯科に取り組む先生方に取っては多くの示唆を得られる本であると思います。2009年の7月発刊の本なので熱心な先生は既に購入されているかもしれませんが、より多くの先生に読んでもらいたいと思います。現在まだ1刷ですがさらに2刷3刷と増刷され、その事により多くの人々に安心して通ってもらえる歯科医院が増える事を願っています。 


 
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