2010年11月14日
日本の社会保障 医療保険制度は大丈夫か?
 グーグルで「社会保障費 医療 予算 国際比較」で検索すると「図録社会保障給付費の国際比較(OECD諸国)」という記事があるので、ぜひそれをご覧いただきたい。
 そのサイトを開くと「社会保障給付費の国際比較(OECD諸国)(2003年)」というグラフがあり、そこに解説が加えられている。
 それによると日本は総計の対GDP比率が17.7%となっており、対象29カ国中、23位と社会保障費レベルの低い国にある。解説によるとヨーロッパ諸国は社会保障レベルが高い国が目立っており、社会保障レベルの低い国は2つのグループに分けられると書いてある。社会保障レベルの低い国は韓国、メキシコに代表される高齢化の比率が低く、社会がなお成熟途上にある開発途上国的な性格が強いグループと米国、カナダ、オーストラリアなど個人による自力救済的な考え方の強い英米系のグループである。そして日本はどちらのグループにも属していないにもかかわらず社会保障レベルが低い点に大きな特徴があるとも書いてある。
 つまり、日本は高齢社会で本来医療費がかかってしまうにも関わらず、ヨーロッパ諸国のように消費税率等税金を高くして、社会保障費にまわすこともしていないし、また米国等のように民間保険で医療費をまかなうようにもなっていないということである。
 国民は国民皆保険制度のもとで何でも高水準の医療が受けられると思っている。しかしながら、高齢化が世界でもまれなスピードで進んでいる日本において今まで機能してきた国民皆保険が果たして、現在、そして将来において機能しうるのか、大いに疑問である。
 現在いろいろな医療問題が起きており、たびたびニュースで報道されるが、果たしてすべてが医療サイドの問題であろうか?かなりの部分は社会保障制度に問題があるのではないかと思う。
 そして特に悲惨なのが歯科医療の分野である。グーグルで「国民医療費 歯科医療費」を検索すると「国民医療費の伸びの真相」という日本医師会のPDFファイルの記事がある。その中に「診療種類別 国民医療費の構成比」というグラフという1996年から2006年までの統計が載っているがそれによると歯科医療費の国民医療費に占める割合は右肩下がりに下がっている。
 歯科医療は入れ歯を作ったり、冠を作ったりする際に多くの材料を使用するし、またそれらを作成する歯科技工士に技工料という形で費用を払わなければならない。そして材料や技工料に消費税がついているにもかかわらず、それを国の定める診療費の中では考慮されていない。また、歯科医療は他の医療同様に、歯科衛生士等多くの人件費のかかる業種である。人件費や材料費が資本主義、自由経済下で上昇するのに対し、医療費は社会主義的な統制経済で押さえられている。それら国の行ってきた社会保障政策の中で起きているのが歯科医の四人が年収200万以下のワーキングプアーの問題である。この問題は一部報道で取り上げられたことがあるものの国会や中央社会保険医療協議会(中医協)で広く国民が知るような形で取り上げられたということを聞いたことがない。
 国が行っている社会保障政策に協力している歯科医師がなぜ貧困に苦しまなくてはならないのか?

 
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