2010年12月07日
口腔内写真の意味
 あるセミナーに出席したおり、冒頭に講師から「皆さん、今日一日は『知っている』と『私にはできない』という二つの言葉を決して使わないようにしてください。そんなの『知っている』と言った時、学ぶ事をやめてしまいます。『私にはできない』と言った時、自分を限定してしまい、成長が止まります。」といわれた。
 
 このブログを読んでいる歯科関係者の中には、講演などをされている方もいるかもしれない。そのような方にとって写真の撮り方なんてと思われるかもしれない。実は私自身がそうであった。
 しかし、もし「写真の撮り方なんて知っている」と支部会に出席しなかったら、貴重な学びの機会を失う所であった。
 以前は記録用には、一眼レフの銀塩写真を使っていた。その後デジタルカメラががでて、簡単なスナップ程度のものには、その機種を使っていたが物足りない事も多かった.やがて銀塩のカメラが壊れたので、一眼レフタイプのデジタルカメラに変え、以来それをずっと使っている。何となく歯肉の色が違うなーと思っていたのだが、それがTTLという露出計を使ったフラッシュに問題があることが分かった。前歯と奥歯では露出を変えて撮影したり、時には同じ患者さんでも露出を変えねばならない事があったが、それが電池式のバッテリーに原因のある事も分かった。また今まで気づかなかったが、小さなテクニカルエラーがある事も分かった。
 歯科関係者で興味のある方は、医歯薬出版の新口腔内写真の撮り方という書籍を買って勉強される事をお勧めする。また、これから一眼レフタイプのデジタルカメラの購入をしようと思っておられる方は、サンフォート社のものをお勧めする。

 ところでこのホームページを患者さんで見られている方もいらっしゃるかもしれない。そこで口腔内写真の意味について少し触れておきたい。患者さんにとって自分の口の中を詳細に見るという経験はほとんどないと思われる。顔や手足であれば自分でもよく観察できるが口の中はそのようなわけにはいかない。顔や手足におできがいくつかできていたら気になる人の方が多いと思うが、口の中では分からない場合があるし、それを口内炎と間違っている人もいる。その結果として口の健康は、その他の器官よりおろそかにされがちである。従って自分の口の中をよく認識してもらうためにまず撮っている。また治療前と治療後の写真を見比べてもらえればどのようによくなったかもよく分かってもらえると思う。
 次に自分の口の治療についてどのようになるのかという事はイメージしづらい。そこで他の患者さんで行った治療例を写真で残しておき、それをもとに説明していけば少しでも理解に役立つ.また自分の医院で行った症例であるので、単に書籍の症例で説明するより、患者さんへのアピールは大きいのではないかと思っている。
 いづれにしても患者さんの治療に役立たせるために口腔内写真は必須のものであると思っている。ずっと前に知り合いのご夫婦と一緒に夕食をとっていたとき、その奥さんが私が尊敬している歯科医の先生に治療を受けられていた。ただその奥さんは写真を撮られるのが苦痛だとおっしゃっておられた。その他にも口の中の写真を撮られる事を嫌な患者さんもおられるので、事前に口の中の写真を取る意味について書いた書類を呈示し、理解した場合は署名をしていただいた上で写真を撮るようにしている。また複雑な症例などでは治療前や治療中の写真、治療後の写真を撮っているのだが、それらについて他の患者さんに治療例のひとつとして利用させていただいたよいかの承諾についても文書で事前に確認するようにしている。
 ともかく口腔内写真は自分の技術向上、そして結果として患者さんの口の健康に維持と確立になくてはならないものだと思っている。

 
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