2015年07月07日
その症状本当に「顎関節症」ですか? No2

 N.H.Kテレビテキスト「きょうの健康」に寄せられた『「顎関節症」と診断されました』という記事に関してブログを書いています。

 新村歯科医院が使用しているDr.オケソンの分類に基づく診断について記述する前に、下記の日本顎関節学会のホームページをご覧ください。

http://kokuhoken.net/jstmj/general/index.shtml

 

 ここで「一般の方へ」と題されたページを見てみると「顎関節症の代表的な症状」の中に「あごが痛む(顎関節痛)」「口が開かない(開口障害)」「あごを動かすと音がする(顎関節音)」の三つのうち一つ以上の症状があり、鑑別診断で他の疾患がないものを「顎関節症」というとあります。

 他の疾患がないとは微妙な言葉ですが、「MRI検査で確実な診断と適切な治療が可能になりました」と書いてあり、滑膜性骨・軟骨腫症、咀嚼筋腱・腱膜過形成症など私の30年間の臨床経験の中で、全く遭遇したことのない病名が並んでいます。

 一方で、あごが痛んだり、口が開かない、あごを動かすと音がするいう症状は、それほど稀ではありません。もちろん最終的な鑑別診断において、MRI検査が重要な働きをする事は事実ですが、その前に行うスクリーン検査があると思います。

 それらのスクリーン検査を一般の歯科医院で行って、どうしても確定診断がつかない場合は専門病院でMRI検査を受けていただくというのが、患者さんの負担も少なくなると思います。

 そして上記の三つのうちの一つ以上を満たしているので、顎関節症と診断し、ホームページに書かれているような治療法を進めていくとすると、かなり症状が軽減しないケースが出てくるのではないかと思われます。

 もちろん「他の疾患」がこのホームページに記されていないものを多く指していて、それは日本顎関節学会に入会しないと分からないというならば別です。

 しかし、顎関節症に関するリーフレットを発表するなど積極的な活動を行っているのですから、顎関節症と鑑別する際に除外すべき疾患、症状についても詳しく一般歯科医にも提供して欲しいと思います。


 
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