2016年02月02日
注射無しで、痛み無し!?

 歯科の治療で多くの患者さんがいやがることに、注射があります。むし歯治療では多くの場合痛みをさけるために麻酔注射を行ってきました。

 痛みを避けるために、「痛い」注射をするという、やむをえない事なのですが、ある種矛盾した様に感じられることを行ってきました。

 しかし、むし歯に関する研究が進み、今ではむし歯に感染した部分を取り除くだけであるなら、適切な器具を使うことによって、麻酔注射無しでも治療が出来るようになりました。

 これにはコンポジットレジン修復という合成樹脂の改良とその治療法で使われる接着材料の進化が大きく寄与しています。

 20年以上前であれば、奥歯の治療にはインレーと呼ばれる金属を使った治療法が唯一の選択でした。この方法ですと取れないようにするために、健康な象牙質まで削らなくてはならないために、治療中の痛みを避けるために麻酔注射をしなければなりませんでした。(20年くらい前には、奥歯でもコンポジットレジンが用いられるようになりました。しかし強度不足や接着力の問題で2次カリエスと呼ばれる治療後のむし歯の再発が臨床では多く、そのことが、私の診療所でのコンポジットレジンの奥歯での使用を遠ざけていました。)

 今では、むし歯の部分を最小限に削り、コンポジットレジンで詰めることが出来るので、ほとんど痛みを感じることなく治療を終えることが出来ます。

 また当医院では、無麻酔下で治療を開始し、もし痛みが強い場合はアイオノマーという材料で一度治療を済ませ、第二象牙質と呼ばれる層が形成されるまで半年以上待って、その後に治療を行うことによって、痛みを回避するようにしています。

 また無麻酔で治療を行うことにより、削り過ぎを防ぐとともに、神経の治療を出来るだけ回避することによって、治療期間の短縮にも努めています。

 もちろんむし歯で穴が開いたまま一年も放置したようなケースでは、このような治療法を選択できなくなるケースが多くなります。やはりちょっとでも違和感を感じたら、すぐに歯科医院を受診することと、定期健診がおすすめです。

 


 
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