2017年01月29日
日本人の歯が失われる残念なステップ その1

 食べ物が詰まりやすくなった、あるいは冷たいものを食べたり、飲んだりすると歯がしみる。日本では、そのような自覚症状が出てから歯科医院にかかられる方がほとんどです。

 

 そして歯科医院に行くとまず虫歯の診査のためにレントゲンを撮ります。神経まで病巣が及んでいなければ、多くの歯科医院では、インレーといって金属の詰め物をするために、歯を削って型をとります。インレー修復はすでに何十年にもわたって行われた手法であり、適正に形成し、正しく充填すれば1年や2年で取れることがほとんどない優れた治療法です。

 ただ残念なことに、虫歯を完全に除去し、なおかつ取れにくい形態にするためには、健康な歯の部分まで削らなければなりません。そのために治療中に痛くならないように麻酔注射をしなければなりませんでした。痛くない治療をするために、痛い注射を我慢するという矛盾が生じていました。

 現在では接着技術が向上し、コンポジットレジンという合成樹脂を使用することで、虫歯の部分だけ削り、その部分だけ詰めることが可能になりました。そして、この手法を行うことで多くの症例で麻酔注射をしなくても、あまり痛みを感じることなく治療することが可能になったのです。

 しかし私が多くの歯科医の先生と話していて感じることは、コンポジットレジンに対する信頼性が低いことです。それはいくつかのステップを確実に行わないことによって起きるのですが、多くの先生は、コンポジットレジンという材料が悪いと思い込んでいるのです。

 先日も幼稚園の検診に行った際に、3歳から5歳の幼稚園児の口の中に多くのインレー修復が見られました。その修復技術や修復物は見事でしたが、そのような手法を取らなくても治療が可能な時代になったのです。

 インレー修復は銀色で見た目が悪いだけでなく、健康な歯質まで削るので、治療後に痛みやしみたりといった後遺症が残ることがあります。

 そして大きく歯を削るということは、やがて抜歯に近づく第一歩を踏み出すことになるのです。


 
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