2017年02月04日
日本人の歯が失われる残念なステップ その3歯の神経をとる

 歯には、細い血管と神経が通っています。「生きている」のです。神経をとってしまった歯は「枯れ木」と同じで弾力性が失われ、割れやすくなります。歯が割れてしまうと一気に抜歯になる可能性が高まります。

 また歯の神経の治療を専門用語で歯内療法といいますが、大変難しい治療なので、出来るだけ避けたい治療です。

 

 以前後輩と話していた時、ブリッジの治療の際に土台になっている歯の神経をとると言っていたので「そのような治療はやめろ。きちんと注水と切削量に気をつけていれば神経など取る必要はない。」と強く注意しました。

 また別の先生と話していた時にも、その先生が勤務している診療所では「ブリッジや前歯のメタルボンド(陶器による白い歯)は、神経をとることをルーティンにしている。」と聞いてびっくりした記憶があります。

 

 虫歯が進行してやむを得ない場合を除き、原則神経は取らないほうが良いのです。新村歯科医院では、MI治療に本格的に取り組み始めてから約10年がたちますが、ほとんど麻酔をしないで治療するようになりました。

 それ以前は患者さんから治療時の痛みを回避するためにほとんど麻酔をしていましたが、カリオロジー(虫歯学)が進んで、虫歯の部分だけを削っている限りは痛みがないといわれています。実際多くの患者さんに麻酔注射なしで治療を進めています。(これはあくまで原則でたまに小さな虫歯でも痛みを訴える方はいらっしゃるので、その場合は麻酔をして治療をします。)

 麻酔なしで治療を進め、患者さんが痛みを訴えた場合は、虫歯の進行を抑える成分を含んだアイオノマーという材料を使用し、第二象牙質と言って歯の神経を守るための防御機構を利用し仮の治療を行い、半年以上経過してから、再度虫歯の除去をしていきます。

 このような治療法を行うことで、神経を取らなければならない状況を回避できる可能性が高まります。

 もちろん、あまりに長い期間放置していた虫歯では、一時的に痛みが治まっても、1年後あるいは2年以上経過したのちに神経の治療をする可能性は残ります。

 しかし、神経をとる時期を遅らせることによって、歯の延命、ひいては快適な生活を送るために寄与していると考えています。


 
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