2017年06月29日
治療した歯がなぜしみるの?

 あなたがこのページをお読みになっているということは、すでに歯科医院で虫歯治療を受けた詰め物がしみて気になっておられるということだと思います。

 なぜそのようなことが起きるのでしょうか?

 

 下の図をご覧になってください。これは「家庭の歯学ー目で見るお口の百科」クインテッセンス出版の書籍に掲載されているものです。

 (この書籍は1990年、今から30年近く前に出版された本ですが、大変すばらしい内容で患者さんの説明用に今でも診療室に置いています。)

 

 多少読みにくいかもしれないので、解説を加えますが、ここにはむし歯を完全に削り取ると、神経の近くまで接近するので、しみたり、痛んだりすることがあります。期間は様々ですが、防御機構が働き第二象牙質ができると、詰め物と神経の距離が離れるので、やがてしみなくなります。冷たいものや熱いものは控えて様子を見てくださいというようなことがかかれています。

 

 もしかするとすでに、担当された先生からそのような説明をお受けになっているかもしれませんが、そのような理由なので、日に日にしみたり、痛んだりという症状が強くなるのでなかったらご安心ください。

 ところでもう一度下の図をご覧になってください。黒いむし歯の部分より、大きく削っていることにお気づきですか?(左下の図で下半分の黒い線は、私が加筆したものです。上の逆三角錐の黒い部分がむし歯です。)

 これは当時一般的だった奥歯の詰め物でインレーという金属を使った方法で行ったものです。型をとって、後日金属の詰め物を詰めるという手法です。

 この方法の場合、詰め物を取れにくくするために健康な象牙質の部分まで削らなくてはなりませんでした。その為に後でしみるという事が起きることがありました。

 現在では奥歯のむし歯でも、接着材の向上により、コンポジットレジンという材料を使用することで、むし歯の部分だけ削って詰めることが可能になったので、詰めた後にしみたり、痛んだりということがほとんどなくなりました。

 またむし歯の治療時に麻酔注射をする事もほとんどなくなりました。さらに良い点は歯と同じような色なので審美的にも優れているということです。

  もちろんインレーという手法も、確立された方法で、むし歯が大きくなってしまった場合はこの治療法を選択するということはあります。

 むし歯で出来た穴を放置することなく、また少しでも気になることがあったら早めに歯科医院にかかることで、インレーにしなくてもすむケースは多くなることを付け加えておきたいと思います。2017062908193337338.jpg

 


 
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