9月30日(土曜日)に来院された患者さんに「どうでしたか?」とお聞きすると「急性上顎洞炎」と診断されました。お薬を飲んで、今はよくなりました。」とお応え頂きました。
この患者さんは、1週間前の9月23日に、左上の歯の痛みで来院されました。歯科用デンタルフィルムでその部位を撮ってみても、むし歯や歯周病の徴候は見えません。そこでパノラマ撮影という顔の部分全体が映るレントゲン撮影を行いました。
その写真だけでは判読できませんでしたが、以前に撮影してあったパノラマレントゲン写真と比べると左側の上顎洞と呼ばれる部分に、やや変化が見られました。
そこで患者さんに「以前蓄膿症といわれたことがありますか?」、また「鼻の横の部分を抑えた時に違和感はありますか?」とお聞きすると、両方とも「はい「」というお応えをいただいたので、「上顎洞炎という耳鼻科の病気の可能性があるので、そちらも受診してみてください。」とお伝えしていたのです。
このように「歯の痛み」を訴える患者さんの中には「歯以外」の原因で痛んでいる方も少なからずいらっしゃいます。
これらを診断していくには「口腔外科」という専門分野でトレーニングをつむというのが一つの方法です。
もう一つは、長期的な臨床の中で、常に歯以外にも目を配っておく診断力の積み重ねも大切です。
また自分で診断がつかない場合には、口腔外科などの専門家医を紹介するシステムを持っていることも大切な要素です。加えて紹介の前には事前に病名の予測を立てておくことも重要です。そして事前に予想した診断名と専門医が下した診断名が一致しており、その一致率が高まれば高まるほど、それだけ診断能力が身についたという事が言えます。
最後にもう一つ、患者さんに継続して通っていただくことも大切です。歯科医院に蓄積された患者さんの情報と絶えず見比べながら、患者さんの今の状態を判断していけるからです。
TrackBack (0) | by pl_A-02219
ボットからトラックバックURLを保護しています