2011年01月17日
審美歯科とコスメティックデンティストリー
 Pankey Instituteが、そこで研修を受けた歯科医師の診療所の患者さん向けに発行しているOral Health Reportという小新聞があり、そこにLarry Burgessという先生が、Esthetic DentistryとCosmetic Dentistryについて寄稿されています。
 Esthetic DentistryとCosmetic Dentistryはそれぞれ審美歯科と美容歯科と訳す事も出来るかもしれませんが、美容に真摯に取り組んでいる業種の方に、美容という言葉が何か劣ったもののように受け取られる心配があるので、Cosmetic Dentistryはそのままコスメティックデンティストリーと表記する事にします。
 さてDr.Burgessは文中でCosmeticという言葉は、外観をより美しくするという意味があるのに対し、Estheticではより芸術的な美しさをもっているとしています。
 そしてFunctional Esthetic Dentistryという言葉を用い、単なる美的なものだけでなく、機能性といったものへの配慮についても記しています。機能とは食べる、話す、歌うといった事です。付け歯をしてそれらの機能が失われる事はないのでしょうか?
 またEsthetic Dentistryで美しい笑顔を作っていくためには、まず患者さんの歯科履歴や健康に対する関心事などについて話し合いをもった後、細かな検査を行い、さらには審美治療の前に歯周病などの治療を行い、また審美治療を行った後も定期的な検診の必要性についても述べています。そしてその事によって一度作り上げた美しい笑顔が保たれていくとし、その事の方が患者さんにとっての望みではないだろうかと述べています。
 美しさについての評価は個人的なものだとは思います。しかしながら一時的な流行で付け歯をして、その事によって口の健康が損なわれ、ムシ歯や歯周病を作り出しては、患者さんのためにはなりません。患者さんが本来もっていた美しさすら失われてしまう可能性があるからです。
 単に患者さんが望むからという理由だけで、付け歯治療を行う歯科医院は審美歯科治療を行っているのではなく、コスメティックデンティストリーを行っていると言えると思います。
 私たちは、健康と機能に裏打ちされた美しさを追求すべきであると思います。

 
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