2012.02.0417:45
 私が大学を卒業した約40年ほど前には、大学病院では口腔ケアやインプラント治療といった診療科目もなかったし、ましてはその為の教育というものもなかった。
 口腔ケアや介護といった問題は、近年急速に高まった高齢社会の問題とリンクしているし、またインプラント治療については、世界的な研究の発達により、非常に特殊な治療といったものから、今では多くの開業医が手がけるものになりつつある。(その事による弊害が過日NHKのクローズアップ現代で取り上げられた,インプラントのトラブル急増につながっている)
 さて、このような歯科技術の事もさることながら、インフォームド・コンセントという言葉に代表されるように、患者さんとの関係についての事も多く取り上げられるようになり、一部の医科大学では医療面接という事を専門に学ぶ講座もできたという報道もあった。
 私が卒業した頃は、医師や歯科医師が、学問にのっとり、適切な処置をしさえすればいいと考えられていたように思う。そして、しっかりとした医療技術を提供すれば患者さんは幸せになれると思われていたのではないか。
 大学では歯科医療に必要な知識や技術を教えてはいたが、患者さんの幸せとは,などという事は教えられなかったように思う。

 幸せといっても、それは一人ひとりの価値観が違うので何を持って幸せかという事もそれぞれ異なる。
 ホリスティックデンティストリーを体系づけたアメリカの歯科医師Dr.パンキーはインタビューという事を大切にした。そして彼の歯科臨床哲学の中で、患者さんを知りなさいということを言っている。では患者さんの何を知るのか?それは患者さんの価値観であると思う。
 入れ歯を入れたいという患者さんが来院された時、見た目が気になるのか、美味しいものが食べられなくなったのかでは、まったく異なる。
 でも多くの入れ歯を入れたいという患者さんは、ただ漠然と今のが不具合だからという理由だけで、その人本来の持っている価値観、''嫌な歯科医院''にわざわざ来た理由を忘れてしまっている事が多い。それを聞き出すのがインタビューの技術だと思う。

 

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2011.08.2817:55
 マニュアルという事に関して、Pankey Inst.での思いだす事は、二度目に行った2000年のことだ。
 その時は顎関節症に使うバイトプレーン(マウスピースのようなもの)の講義と実習があり、外部講師として、ノースカロライナのフリン・ハリス先生から、指導や助言をしていただいた。
 バイトプレーンを調整するエンジン(入れ歯などの調整に使用する器具)を私たち日本人は鉛筆を持つようにしていたが、ハリス先生は、切り出しナイフを持つような持ち方で行うよう指導された。我々生徒はどうしても元の持ち方になってしまうのだが、その都度先生は、持ち方を変えるようにと言われた。
 実際このような持ち方で調整すると、平面をよりスムースに仕上げる事が分かった。参加者の中には、「日本人はこのようなやり方に慣れている」というものもいたが、私は先生の指示に従った。

 マニュアルに関して言えば、学生時代、サラの状態にある時にしっかり「本物」を身につける事が大切だ。変な癖をつけてしまうと直すのに非常に大変だからだ。それと「生徒」はマニュアルに書かれている動作が身につくまで、ひたすら練習する必要がある。自己流はいけない。川村泰雄先生が講義でよく「いいトコドリはいけない。」と言われたが、それをしているとマニュアルの目的、均一性や質の保証が保たれなくなるからだ。

 

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2011.01.2107:43
 Dr.Robert BarkleyはDr.Pankeyから教えを受けたアメリカ歯科医師の一人です。
 そしてDr.Pankeyと同様に、Dr.Barkleyもまた、多くのアメリカの歯科医師たちに影響を与えました。
 彼の著書にSuccessful Preventive Dental Practiceがあります。その序章には、彼の生い立ちや歯科医になってからの歩みなどが書かれています。Dr.Barkleyはイリノイ州の小さな町で生まれ、そしてその地で開業しました。よりよい歯科医療を行おうと多くの研修会に出席し、勉強を積み重ねていきましたが、その結果は患者さんの口のなかに多くの病気を見つける事となり、治療費の見積額が増えていったのです。その事で旧友たちからは「高い歯科医」と噂されるようになりました。ある日昔チアリーダーだった女性がDr.Barkleyの診療所を訪れます。彼女はあまり裕福でなかったので、控えめの治療費を見積もったものの、それでも高額なものとなり、次の予約日には現れませんでした。そして彼女がその後、Dr.Barkleyの診療所を訪れた時には、さらに悲惨な状況になっていたのです。
 その事に非常なショックを受けたDr.Barkleyは自分自身の診療について大きな改革をしていきます。タイトルのPreventiveとは予防的と訳します。
 私は彼の本を読んだとき、まさに自分自身の体験とそっくりだと思いました。私自身松本という小都市で開業しています。そして私の診療所には高校時代の先輩や同級生が通ってくれています。
 私が予防について繰り返し書いているのも、しっかりとした治療(欧米でスタンダードに行われている歯科医療)を行おうとすると必ずしも保険ではカバーできないところが出てきてしますのです。だから悪くなる前に来院していただき、また悪くならないように通院していただくという事が本当に患者さんにより負担をかけないですむからなのです。

 

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2010.11.1608:29
 10月の30日、31日の両日にわたりアメリカ、フロリダにあるパンキーインスティテュートからDr.Beckerをお呼びして講演会を行ったことは以前のブログでも報告しました。
 その中でいくつもの症例の紹介がありましたが、かなりの部分をインプラントによる治療が占めていました。Dr.Beckerもインプラントの導入によりかなり予知性の高い治療が出来るようになったということを述べておられました。
 しかし自分自身は修復医として上部構造物の治療に当たり、手術については専門医である口腔外科医、またある場合は歯周病専門医に任せているということもお話しされました。
 アメリカでは専門医制度が発達していますが、日本では矯正医がわずかに専門医として存在している程度です。
 私は根の治療でも難しい症例は大学病院に紹介することがあるのですが、レセプトという審査機関に提出する書類に通常の病名をつけて提出すると、拒否され認められません。私は根の治療でも専門医(大学の歯内療法科)の先生でなければならないものがあると思います。もっと多くの開業医は難しい症例は大学に紹介するということをした方がいいと思います。何でも自分でやることが名医とは限りません。Dr.Beckerのような高名で才能ある歯科医でも自分のテリトリーを決めているのです。アメリカの歯科界は今の日本の料理の世界のように和食、中華、さらにはフレンチやイタリアン、パティシエなどの様に分化しているのに対し、日本の歯科界は昔の食堂のように寿司も作ればカレーも作りチャーハンも出すという世界なのかもしれません。
 しかしながら日本では根の治療、歯周病の治療の専門医として開業しようとしても、歯科治療費があまりに安すぎてやっていくことが出来ないという悲惨な現実があるということも多くの国民に知ってもらいたいと思います。



 

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2010.11.0217:36
 10月30日、31日の両日にわたりDr.Beckerの講演会が開催されました。
 私は30日土曜日の6時8分発のあずさに乗り東京国際フォーラムについたのが9時30分頃でした。10時よりキックオフミーティングを行い、講演会の準備、そして1時より講演会が始まりました。台風の影響で、あいにくの雨にも関わらず、約80名の先生方の参加を得ることができました。
 5時に初日の講演会終了後、ホールにてベッカー先生を交えての立食による懇親会が行われましたが、こちらにも多くの先生方に参加したいただきました。
 懇親会終了後、場所を東京タワー下のうかい亭に移し、メンバーとベッカー先生ご夫妻の懇親会を楽しい雰囲気で行いました。
 翌日は10時より午後4時まで主にケースを中心とした講演が行われました。参加者は昨日より増え、一部椅子を増やす程でした。大変実りある会であったと思います。
 個人的にはもっと早い段階から友人に声をかけより多くの先生方に参加してもらえばよかったと思いました。
2010110217334131331.jpg

 

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2010.09.0808:35
 2001年のある日、Pankeygramの10月号が届いた。そのフロントページにインスティテュートの主任教授であるDr.BeckerのGrowth, Change&Resolveという記事が掲載されており、その中でスティーブがin-house-Facultyつまり常駐の講師になるという事が紹介されていた。そして3ページ目にはスティーブ自身がWorking on the Insideというタイトルで常駐の講師になった事を書いていた。
 これは私にとり素晴らしい事だった。外部講師であれば、パンキーインスティテュートで研修を受けても必ずしもスティーブが講師としてきてくれる事はないが、常駐であれば、必ず講義を受けられるという事だからである。
 大変嬉しくなってスティーブにメールを送ったが、5月にパンキーインスティテュートでの講師の予定はないという返信が来た。

つづく

 

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2010.09.0508:43
 1997年に初めて、パンキーインスティテュートに行って以来、インスティテュートからPankeygramという機関誌が定期的に届くようになり、楽しみの一つになっていた。そうはいってもそれほど英語力がある訳ではないので、興味のある記事があれば、辞書を片手に読み進めると言った具合であった。
 ある日、診療所の郵便受けにPankeygramの2月号が入っていたので、診療所の前のホテルの喫茶室で紙面を読むともなく見ていた。するとComplete Care-High Impactという記事が目に入った 。この記事には、診療計画について話し合い、その契約を結ぶ段になって診療計画を受け入れてくれるものとばかり思っていた患者さんが診療所を去ってしまったという事が書かれていた.それは自分がよくしていた経験であり、とても共感を持って読み進めた。その後何日かしてから患者さんからの手紙が届き、そこには、自分はまだ診療を受けようか迷っている.何かアドバイスがあれば教えてほしいというような事が書かれていた。そして患者さんとの信頼関係が充分築けていたので、患者さんは再び彼の診療所を訪れ、すべての治療計画を完了する事が出来たという風に結ばれていた。
 この記事には非常に衝撃を受けたが、それはSteve Ratcliffというパンキーの外部講師によって書かれたものであった。彼の事に興味を持った私は、それ以前に届いていたPankeygramを読み返し、スティーブの書いた記事を探した。彼は何点かの記事をPankeygramに寄稿していたが、共通している事は、はじめに上手く行かない事があって、それをパンキーインスティテュートでの研修で克服していったというにようなスタイルをとっている事だった。
 2001年のある日、パンキーインスティテュートの主任教授であったDr.Beckerにスティーブを、外部講師として呼んでほしいというメールを送った事があった。その後しばらくして返信があり、そこには、2002年のコースに講師として彼を呼ぶようになっていると書かれていた。
 つづく

 

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2010.08.1515:52
 1997年初めてパンキーインスティテュートに行った後、今まで以上にホリスティックデンティストリーを自分の診療の中に取り入れる事を決意し、すこしづつ患者さんの症例実績を作り始めた。
 そして、2000年に再び渡米しコンティナム鵺を受講した。この時まる1日特別講義をしていただいたのが、当時マイアミ州立大学歯学部のヘンリーグレミリオン先生であった。先生には解剖、生理から始まって、口腔の機能と健康についてのお話し、またTMDの診査、診断、治療法と多岐にわたって講義をしていただいた。先生の講義は素晴らしく、参加したH.D.Aのメンバーすべてが感銘を受け、テープ起こしをして、それをまとめ、冊子を作る事になった。それは後に通訳の川横さんと古谷先生によって完成させる事ができた。(私も下記に述べるようなパワーポイントでの記録を作る過程で理解した点で多少の協力をする事ができた。)
 私も個人的にとってきたビデオテープを見直しながら、ノートを取り直していたのだが、やがてパワーポイントで作った方が視覚的にも分かりやすいと感じ、カメラで撮ってきた写真や他の雑誌などの写真を使って個人的なノートブックとして作成していった。

 川村先生が講義の中でよく言われたのが、歯だけを診る歯医者ではなく、口全体を診る口腔科医になれということであった。そしてまた、口腔顔面痛やTMDのことをもっと学べという事も言われた。

 口腔顔面痛についての良い本が中々見つからなかったが、たまたま歯科医師会の用事で日本歯科医師会館に行った際に、時間があったので図書館で本を読む機会ができた。そしてこれも本当に偶然なのであるが、後に長野県歯科医師会長になられた、一志先生がおられて、便宜を図っていただけて、十分な時間を図書館で過ごす事ができた。そしてそのとき見つけたのが、ジェフェリーオケソン先生の書かれた、「ベルの口腔顔面痛」という本であった。
 オケソン先生は、コンティナムのテキストの参考文献にも何回も紹介されていた先生で、自宅に帰るとすぐに買い求めて、繰り返し読んだ。そこには顎関節症と間違えて、すぐにスプリント療法をしてしまいそうな病気の事も書かれていたが、具体的な歯科治療の記載が少なかった。そこでもっと歯科領域に限定した本はないかと探したところ、第一出版からオケソン先生が書かれた「顎口腔機能異常と咬合のマネジメント」という書籍があることが分かり、これも購入した。そして、この2冊の本によって、私の顎関節症の診断力も向上し、またTMDの理解も深まった。そして、そのような目が養われて上で、グレミリオン先生のビデオを改めて見るとまた新しい発見があり、それをまたパワーポイントに加えていく事となった。

 

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