2011.01.2507:56
 私はほぼ月に一度の割合で、H.D.Aの研修会のため、東京か大阪のどちらかに出かける。
 そんな時、列車のなかは格好の「移動図書館」となる。
 今回は以前に読んで、また読み直そうと思っていた山本周五郎の「赤ひげ診療譚」をもって出かけた。
 今でもたまにマスコミで「〇〇の赤ひげ」などと開業医が取り上げられる事があるし、以前には歯科医のなかにも「赤ひげ」のようになりたいなどと書かれたものを見ることがあった。その時不思議に思ったのは、彼らは赤ひげという小説を読んだことがあるのだろうかということである。
 赤ひげは「小石川養生所」という幕府直轄の医療機関に勤務する医師であって開業医ではない。そしてこの「小石川養生所」は貧しい人たちのための医療機関である。今でいえば国立の福祉医療施設に勤務する教授といったところか。そして幕府の高級役人から、その弱みに付け込んでと言っていいかもしれないが高額な治療費をとっていたりする。もちろんそのお金は自分の懐に入れるのではなく貧しい人たちに与えている。
 このようなことを現在行えば医療法違反に問われる。

 このような理屈はさておき、「赤ひげ診療譚」は非常に素晴らしい小説である。そして若い頃に読んだ時とはまた違った感慨をもった。

 

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2011.01.0320:43
 去年の暮れから、正月にかけて二冊の本を読んだ。
 一冊は昨年のノーベル化学賞受賞者である根岸英一先生の書かれた「夢を持ち続けよう!」二冊目はトップモデルの道端ジェシカさんの初エッセイ「幸せのある場所」である。
 まったく異質の二人に思われるかもしれないが、ひとつの共通点はトップであるという事である。もちろん世界と日本という点を指摘される方もいらっしゃるかもしれないが、どちらもトップであるという点は変わりないし、トップならではの考え方、行動の仕方というのは学ぶべき点が多いと思う。

 根岸先生の本のことは新聞広告で知った。「若者よ海外へ出よ!元気をなくしたすべての日本人へ」というコピーに魅かれ、アマゾンで購入した。
 根岸先生の本には、高校1年の時には123番であったが、2年の1学期に9番だった以外すべて1番を通したとか(湘南高校という一流の進学校で)、フルブライトに選ばれ、その後アメリカでの成績がすべてエクセレントだったとか普通の人には到底マネできないような事が書かれている。
 しかし先生はノーベル化学賞の受賞者であってノーベル賞を受賞するためにはそのような才能が必要な事は当然である。
 そのようなエピソードに注目してばかりいては、先生が本を書かれた意味がないと思うし、もっと自分のおかれた位置や才能で考えると多くの示唆を与えられると考える。
 そのひとつが例えば、コーチの存在という事である。「効果的なトレーニングのためには、優れたコーチが必要だと確信しています。ピアノのレッスンやスポーツについて語るときには、誰もがこの点に同意してくれるでしょうが、残念ながらプロの科学者の養成に際しては、そうした必要性があまり明白になっていません。P73」
 これは歯科医師の養成に対してもそうであって、日本の歯科大学では、知識レベルの事はともかく実技レベルではスイミングスクールで教わるような丁寧さすらないと思う。(現在の歯科大学の教育は分からないが)もしそれを求めるとすれば、卒業してからの各種の実技講習会への参加である。しかも1日コースや二日コースのような短期的なものでなく。最低でも3、4回と回を重ねるものか1年コースのような長期的なもので、さらにはそのセミナーの講師について何年かのフォローを受ける必要があると思う。そのようにして初めて技術を取得できる。(この事について川村先生は自家薬籠中のものにするという表現をされている。)私たちがH.D.Aという会を作り切磋琢磨しているのは、その点にある。

 次に道端ジェシカさんの「幸せのある場所」という本に関して、この本はフジテレビの朝の番組である「目覚ましテレビ」に道端さんが出演されていて「引き寄せの法則」について語っていたので興味を持ったからである。引き寄せの法則などというとオカルトめいたものと距離を置いてしまう方も多いと思うが、以前ブログで取り上げた、イチローの子供の頃の日記など引き寄せの法則を利用しているような例は数多くある。
 この本を読んでいくつか参考になる事が多かったが、それ以上に思ったのが道端さんと数多くの共通の本を読んでいるという事と、道端さんが大変魅力的な女性であって一度お会いして様々な本やスピリチュアルなの事について話をしてみたいと思った事である。
 私が川村泰雄先生を知ったのは、ある本であったが本だけでは決して学べない事も多かった。人から直接教えを乞うという事で一番のメリットは、質問できるという事である。質疑応答という双方向のコミュニケーションとその後の実践によって多くの知恵を得る事ができると思う。

 根岸先生と道端さんの本を読んで、今年1年さらなる進歩を遂げ、多くの患者さんのお口の健康の創造と維持に努めようと新たな決意を抱きました。
 本年もよろしくお願いいたします。
 

 

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2010.12.2107:51
 私は朝の6時くらいからブログの記事の更新をする事が多いのですが、昨日の朝はデータベースサーバーダウンによるシステムトラブルによって、サイトに接続する事ができずブログの更新ができませんでした。また私のホームページに一時的にアクセスできなかった皆様にお詫びいたします。
 さて今日は、ちょうど先週読み終えた塩野七生の「ローマから日本が見える」の感想を少し記しておきたいと思います。
 私は、歴史が好きなので、歴史書、歴史に関する随筆や小説などを比較的よく読んでいます。
 歴史上の偉大な人物の生涯は波瀾万丈に富み、それだけでも面白いのですが、国の興亡などは壮大なドラマを見ているようで感情の昂りを感じます。そしてまた歴史からは現在の私たちにとって学ぶべき様々な教訓があるように思え時間を作って読むようにしています。
 そんな事から塩野七生も好きな作家の一人です。氏からはいろいろ学ぶ事が多いのですが、政治家の皆さんがもっと読まれれば示唆を受ける事が多いのではないかと思います。以前に取り上げた「日本人へ リーダー篇」や「日本人へ 国家と歴史篇」などと同様今回の「ローマから日本が見える」も多くの政治家に読んでもらいたい本であると思いました。


 さて、「ローマから日本が見える」から学ぶべきは、なにも政治家だけではありません。我々政治に翻弄されている医療界、特に歯科界にとっても学ぶべき事は多いのではないでしょうか。なぜなら歯科医療が自由診療だけであれば、医療問題は医学上の知識、技術の問題と患者さんと歯科医師の人間関係など個人的な問題(それだけでも大変)に限定されると思うのですが、現在のような社会保障、医療保険の問題が複雑に絡んでくると、国民を交え歯科界全体で考えなければならないと思うのです。

 「ローマから日本が見える」の中で塩野氏は、現代日本における混迷はなぜ起こったかについて「戦後の急速な経済成長にあったと見るべきでしょう。P34」と書き、また「どんな制度であろうと、制度には制度の持つ「寿命」というものがあります。最初はうまくいっていたシステムでも、時代が変われば、弊害の方が頭をもたげてくるというものなのです。」と記しています。戦後の経済成長に大きく貢献があった、自民党政権と官僚制度が今批判を浴びているのも、このシステムの弊害が大きくなった故の事でしょう。
 医療に目を転じてみると、国民皆保険制度の問題があげられます。この制度によって多くの国民が安心して医療を受けられるようになり、国民の健康に寄与してきたのは事実ですが、現在起きている様々な医療問題の多くが、医師(歯科医師も含む)や病院の問題だけではなく、国民皆保険制度にあるという事に気づいている人々は少ないと思います。ここにもシステムの弊害が出ているのです。
 ではどのように変革していったらいいのでしょうか?塩野氏は「どんな民族であろうと、どんな組織であろうと、自分たちの体質にまったくないものを外部から持ってきて移植してもうまくいくはずはない。たとえ一時は劇的な成功を収めても、土壌に合わない改革では定着はまずもってむずかしい。したがって改革とはまず自分たちが持っている資質や特質の、どれを生かし、どれを捨てて組み合わせていくかという再構築の形を取るしかないのです。P249」と書いています。日本人の特質、資質とは何でしょう?それをどう保険制度の改革に生かしていったらいいのでしょう?多くの英知を結集しなければ出てこない結論だと思います。
 また塩野氏は「医療と教育は、文明度の高い都市を維持するためには欠く事のできない要素ですが、かといって、これをすべて公費でまかなう事になれば増税は避けられない。P311」とも書いています。何でも先送り(昨日の管、小沢会談もしかり)して本格的な消費税論議を避けている民主党に改革を任せておけるのでしょうか?

 

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2010.05.1708:19
 堺屋太一と渡部昇一の対談「競争の原理」(竹井出版)で医療について書かれた箇所について調べようと思い、久しぶりに本棚から取り出した.探している箇所は見つからなかったが、面白い箇所がいくつかあったので紹介したい。
 堺屋太一が、まえがきに「歯科医はよく儲かる職業であったが、今はもう過剰だ」と書いている。その日付が昭和62年9月となっている。西暦になおすと1987年、今から20年以上前のことだ。文中に護送船団方式の銀行の将来について心配している部分があるが、今ではそれは現実になり、かつての銀行名で残っているものはほとんどない。まさに慧眼である。

 この本の最初には「四k問題は何を示唆しているか」ということが取り上げられている。四kとは、国鉄、米、教育、健康保険のことをさす。既に国鉄については民営化され、米についても自由化され何年もたつ。すでに四kという言葉も死語になっている。
 対談で二人は競争のないところに発展はないと何度も言っている。また競争はあるのだが、それを自覚していない例とし、国鉄について、近距離輸送では私鉄やマイカーとの競争があるし、長距離輸送では飛行機、貨物輸送ではトラックやフェリーとの競争もあると記している。
 歯科界もかつては健康保険に守られてきたが、今では歯科医師のワーキングプアーが話題になっている状況である。
 
 今から20年も前に、私の師である川村泰雄先生は「歯科医は隣の歯医者ではなく、ホンダやソニーと競争しなくてはならない」と述べておられた。当時それを聞いた私の後輩は、ホンダやソニーの会社の規模や資本力と勘違いし、「そんなの無理じゃんねえー」と言っていた。川村先生がおっしゃっていたのは、ホンダやソニーが提供する商品の魅力と歯科医療が患者さんに提供できる魅力が競争し、しかも勝てるようにしなくてなならないということである。堺屋太一、渡部昇一などの偉人と同様、まさに視点が違うということを感じさせられたものである。
 私もホンダやソニーの魅力に勝てるような歯科医療を患者さんに提供できるようこれからも努めていきたいと思う。

 

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