2017年07月02日
ダイレクトボンディング治療のさらなる高みを求めて

 ダイレクトボンディング治療は、歯をあまり削ることなく、歯と歯の間の隙間を審美的に治したり、矮小歯という小さな歯の形態を治したり、歯の欠損部分を治したり、歯の色を変えたりと様々なことができる審美歯科治療です。

 そのダイレクトボンディング治療の中でヨーロッパの先生方が提唱者として開発された方法がBio-Emulationという手法です。

 審美修復治療を行うに当たっては、複雑な歯の色をどのように再現または表現するかということが重要なポイントとなりますが、歯の解剖学的な形態を模倣することで、その問題を解決しようとするものがBio-Emulationです。

 Bio-Emulationグループによって開発された修復材料はすでにヨーロッパで使われていましたが、今回日本でも発売されることになり、本日7月2日に東京の株式会社GC主催による記念セミナーが開催されることになりました。

 講師は日本のBio-Emulationメンバーである青島徹児先生が勤められます。先生にはハンズオンセミナー(実習つき講習会)で何度か教えを受けていますし、昨年の11月と今年の2月にBio-Emulationメンバーが来日し、ハンズオンセミナーを行った際の講演の中でもお話をお聞きする機会を持つなど、特に私のダイレクトボンディング治療技術向上の面で大変お世話になっていますが、今回も半日かけてじっくり学んでまいりたいと思います。

 そしてその技術、知識をもって長野県内の患者さんに、より多くの感動をお届けしたいと思います。


 
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2017年06月29日
治療した歯がなぜしみるの?

 あなたがこのページをお読みになっているということは、すでに歯科医院で虫歯治療を受けた詰め物がしみて気になっておられるということだと思います。

 なぜそのようなことが起きるのでしょうか?

 

 下の図をご覧になってください。これは「家庭の歯学ー目で見るお口の百科」クインテッセンス出版の書籍に掲載されているものです。

 (この書籍は1990年、今から30年近く前に出版された本ですが、大変すばらしい内容で患者さんの説明用に今でも診療室に置いています。)

 

 多少読みにくいかもしれないので、解説を加えますが、ここにはむし歯を完全に削り取ると、神経の近くまで接近するので、しみたり、痛んだりすることがあります。期間は様々ですが、防御機構が働き第二象牙質ができると、詰め物と神経の距離が離れるので、やがてしみなくなります。冷たいものや熱いものは控えて様子を見てくださいというようなことがかかれています。

 

 もしかするとすでに、担当された先生からそのような説明をお受けになっているかもしれませんが、そのような理由なので、日に日にしみたり、痛んだりという症状が強くなるのでなかったらご安心ください。

 ところでもう一度下の図をご覧になってください。黒いむし歯の部分より、大きく削っていることにお気づきですか?(左下の図で下半分の黒い線は、私が加筆したものです。上の逆三角錐の黒い部分がむし歯です。)

 これは当時一般的だった奥歯の詰め物でインレーという金属を使った方法で行ったものです。型をとって、後日金属の詰め物を詰めるという手法です。

 この方法の場合、詰め物を取れにくくするために健康な象牙質の部分まで削らなくてはなりませんでした。その為に後でしみるという事が起きることがありました。

 現在では奥歯のむし歯でも、接着材の向上により、コンポジットレジンという材料を使用することで、むし歯の部分だけ削って詰めることが可能になったので、詰めた後にしみたり、痛んだりということがほとんどなくなりました。

 またむし歯の治療時に麻酔注射をする事もほとんどなくなりました。さらに良い点は歯と同じような色なので審美的にも優れているということです。

  もちろんインレーという手法も、確立された方法で、むし歯が大きくなってしまった場合はこの治療法を選択するということはあります。

 むし歯で出来た穴を放置することなく、また少しでも気になることがあったら早めに歯科医院にかかることで、インレーにしなくてもすむケースは多くなることを付け加えておきたいと思います。2017062908193337338.jpg

 


 
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2017年06月28日
「跳び箱に手をつき骨折する子ども」口にも異変が起きている

 「跳び箱に手をつき骨折する子ども」柴田輝明著ポプラ社という書籍があります。

 その中には「体育座り」が出来ない子や、床掃除で直線の雑巾がけをしていた中学生男子が、腕で体を支えきれず、つんのめった状態で、顔から床に激突して前歯を折ってしまった。あるいは跳び箱で両腕をついて骨折してしまったなど、様々な症例が紹介されています。

 これらの原因として柴田先生は著書の中で「生活習慣の大きな変化による運動不足が原因で筋肉が鍛えられず」という事を書かれています。

 

 実は同じ変化が子供の口の中にも起きているのではないでしょうか。

 

 それは今年の春の中学校における歯科検診でした。口が大きく開けない、口を閉じた時と「イー」と言った時の口角の変化が乏しい、口を開けた時に真っ直ぐに開かず、どちらか片方にずれてします子が多いように感じました。

 歯科検診が終わって保健の先生とお話をしたとき「そう言えば最近口をもごもごさせてしゃべる子が多い気がする。」とのことでした。

 そして先日幼稚園の歯科検診があったのですが、その時二人の児童が明らかにあごの動きが変でした。

 その原因が何なのかは詳しいことは分かりません。頬杖をつくといったことがあるのかもしれません。

 ただ最近の子供たちは、昔に比べて柔らかいものを食べる傾向にあります。それだけあごの筋肉が鍛えられないことになります。また孤食といって、子供だけで食べるといったことも増えているとも聞きます。

 つまり、以前なら噛むという自然に出来ていた動作が、出来なくなってきているのではないかということです。

 これを読まれている方は、様々な背景をお持ちになっているので、具体的なこと、こうしなさいということはできませんが「あいうべ体操」というのは、一つの参考になるのではと思っています。


 
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2014年07月04日
噛み合わせの大切さ ゲンキの時間より まとめ
 噛み合わせの大切さについて、「健康カプセル ゲンキの時間」で取り上げられた内容をもとにお伝えしています。
 番組では、噛み合わせを治すことによって、ドライバーの飛距離が伸びた例を紹介していました。ほとんどの方が、ドライバーの飛距離って筋力だと考えておられると思います。でも噛み合わせを治すことによって、脳に信号が送られ、筋力のパフォーマンスが向上すると考えられます。
 番組にでていた歯科医の方は、スポーツデンティストとして有名なスポーツ選手の治療をされている方のようでした。また噛み合わせの調整の仕方も、私の行っているものと違うようなので「ドライバーの飛距離を伸ばしたい」ということで、来院されても、実際うまくいくということは保証出来ません。
 ただ、以前に当医院で治療された患者さんで、噛み合わせの調整をしたところ、その次に来院した際に「先生!噛むってこういうことだったんですね。」と目を輝かせながら、お話ししてくださった方がいます。
  また、肩こりがなくなったという患者さんもおられます。その他頚の痛みであちこち整形外科とか内科とかをまわったあげく、当医院で噛み合わせの治療を行い頚の痛みがとれたという患者さんもおられます。
 多くの患者さんは、噛み合わせが、どのように全身に弊害をもたらしているかを知りませんし、また,噛むということについても、入れ歯を含めて,こんなもんかというふうに受け止めておられるのではないかと思います。
 もちろん、噛み合わせがすべての原因とは言い切れませんが、もし何となく噛みにくい,歯がなくなってから,肩がこるようになったということが噛み合わせと関連しているかもしれません。
 当医院では,噛み合わせを含め全体的なお口の状態を検査するため,デンタルドックを行っております。人間ドックと同じように保険治療ではありませんが,噛み合わせの問題だけでなく,歯はしっかり磨いているのにムシ歯が出来やすい,歯槽膿漏がなかなか治らないという方も一度デンタルドックをお受けになることをお勧めします。

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2014年06月29日
噛み合わせの大切さ ゲンキの時間より
 日曜朝の7時からTBS系(長野県内はSBC信越放送)で放映されている「健康カプセル ゲンキの時間」で、今日6月29日は、噛み合わせの大切さについて取り上げられていました。

 ところで、クイズをひとつ。以下の三つの中から、噛み合わせを悪くする食べ方はどれでしょう?
① あぐらをかいて食べる。
② テレビを観ながら食べる。
③ 立ったまま食べる。


 答えは② テレビを観ながら食べるでした。その理由を番組内では、正面を向いてテレビを観ながら食べるのであれば問題ないが、たいていは首を曲げて偏った姿勢で食べるためと説明していました。
 その他色々の話題が取り上げられていましたが、詳しくは明日以降にお伝えします。
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2013年08月28日
「歯を失うと記憶力が低下」の研究結果 Dentalismの記事より
 Dentalismという業界紙の SUMMER 2013 No15に『「歯を失うと記憶力が低下」の研究結果。頭の健康のためにも歯のケアは重要!』という記事が載っていました。
(「歯を失うと記憶力が低下 Dentalism」でGoogle検索すると記事は出るのですが、ダウンロード中にエラーが起こりましたという記載が出て、ネット上の記事をアップできませんでした。) 
 ほぼ同様な記事が載っていたので、下記のURLを参考にしてください。
 ただこの記事の中で、残存歯数22本について「この本数は、全部の歯の1/3ほどにあたります。」という記述は、歯科医である私にとって、意味がよく分かりません。Dentalismでは22本の残存歯数について「すべての歯がそろっている場合よりも10本少なく」と記述してありますが、これは親知らずがすべて生えている場合は、32本生えている事になるので、この記述の方が理解しやすいです。
 またDentalismには、喪失歯の70%は臼歯、奥歯であったと記述しています。よく噛めない事が記憶力の低下に関連している事をうかがわせます。
 
 もう一点、最新健康ニュースの記事の中の「入れ歯ではない自分の母」とあるのは、「入れ歯ではない自分の歯は」の誤変換と思われます。

 Dentalismの記事は「頭の健康を良好に保つためにも、歯のケアにより意識を高めていきたい。」と結んでありますが、歯の健康を維持する事が、頭という他の部位の健康を保つという点、そしてケア(日頃のブラッシングや定期歯科検診、衛生士による専門的な口腔清掃等)の重要性を指摘している点に、注目していただきたいと思います。

 
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2012年02月08日
よく噛むことの効用
 最近、タニタ食堂のことが話題になり、「よく噛むこと」を実行する人が増えているようです。
 では、なぜよく噛むことが大切なのでしょう?「食育のすすめ」の「よくかんで脳を発達させ、学習能力アップ」という章の中で,服部幸應氏は,噛む行為によって、その刺激が脳の発達の手助けになることが分かってきましたと記しています。
 「学習能力アップ」「脳の発達を促す」という言葉を聞くと子どもさんの教育に熱心なお母さんは、自分の子どもによく噛んでもらいたいと思うのではないでしょうか。
 また、よく噛む事によって満腹中枢が刺激され、少量でも満腹感を感じ,ダイエットにもいいと聞けば、お母さん自らもよく噛むようになるかもしれません。
 つまり噛む事の効用が自らの価値観に一致していれば、よく噛もうとするでしょうし、その行為は一時的なものではなく,長続きするものとなります。

 さてここでひとつ気をつけておいていただきたいことは,子どもさんの発達にあわせて、調理に工夫を凝らしてほしいということです。
 さすが、食育という言葉を提唱した服部氏、「三歳になって乳歯が生えそろうと,大人と同じようなかむ能力が備わってきます。幼稚園児までなら、一品、小学生以上なら,二、三品かみごたえのある献立をとりたいものです。お母さんは食べやすいように、ひと口サイズに切るなど料理に工夫をこらしてください。」とまで書いています。
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2012年02月05日
できる人は例外なく「よく噛んで食べている」
 このブログでは、患者さんや歯科に関する情報をネット検索している方のために参考となるものを継続して提供して行きたいと考えています。
 ただ、情報を提供するという事は、自分自身でも常にアンテナを広くはって情報を集めるなどして勉強しなければならないという事は常に感じています。

 さて、以前に紹介した「甘いものは脳に悪い」(幻冬新書)に『できる人は例外なく「よく噛んで食べている」』という章があって、噛む事の大切さを説いています。よく噛むことによって唾液が出て、消化を助けるとか唾液に含まれるホルモンの事とかは他の書籍にも紹介されているのですが,そこには噛む事によって十二指腸から、消化酵素の分泌を促す物質であるコレストキニンという物質がより多く分泌されると書かれていました。
 これは、他の書籍ではあまり見た事がないので「へー」という感じで読んでいたのですが、なんと14年ほど前に買った「食育のすすめ」服部幸應著の中の「よくかんで脳を発達させ。学習能力アップ!」という章の中に「かんだ刺激は十二指腸から分泌されるホルモンの働きを促し」と書かれていたのです。この本は患者さんなどにお話しする有益な情報が色々と書かれており、何度か読み返しているのですが,十二指腸から分泌されるホルモンについては忘れていました。同じ本でも,新たな情報を得る事によって、見落とし、見過ごししていた所を再認識するという事を改めて感じました。
 このブログをお読みの皆様も、また同じ事を書いてあると感じられる事があるかと思う部分は、それだけ大切な事を書いてあると思っていただきたいですし、同じ内容の中にも新しい気づきがあるようにこれからも記して行きたいと思います。



 
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2012年01月30日
噛む事の大切さ 
 ブログの項目に「噛む事の大切さ」を加えました。今までの投稿の中でもこの事について触れた記事がありましたが、この項目の中に入れるとともに、また新たな記事も追加していきたいと思います。
 これからもよろしくお願い致します。

 
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2011年06月28日
あらゆる病気を退ける''よく噛む''習慣 
 『100歳まで元気の秘密は「口腔の健康」にあった!』青春出版の54ページから「あらゆる病気を退ける''よく噛む''習慣」という章があり、そこでよく噛むことがなぜよいのかについて書かれているので、以下要約して説明したい。

 まずよく噛むことによって、食物が細かくなるので、消化器官への負担が少なくなることが考えられる。
 次によく噛むことによって唾液の分泌が促進される。唾液には口の中の自浄作用があリ、また酸を中和する能力がある。つまり唾液の量の多い人、また中和力の強い人はムシ歯になりにくいということだ。新村歯科医院で行われているプリベンションプログラムでは唾液の検査も行っている。老化によって唾液が出にくくなったり、また降圧剤の服用で唾液が出にくくなることもある。このようなことも考慮しておかないと、ただ患者さんに歯をしっかり磨いてくださいという指導だけでは十分でない。
 また、唾液には抗菌作用がある。それにより身体に有害な細菌の増殖を抑えたり、虫歯菌、歯周病菌の増殖も抑えられる。
 このことに関連して、高齢者では誤嚥性肺炎という病気があるが、唾液が十分でていれば、感染を防げるとも記されている。しかし高齢になると噛むこと自体が難しくなる。そこで時には専門的な口腔ケアが必要になる。社団法人 全国老人保健施設協会が出している「家庭での誤嚥・誤飲を防ぐために」というパンフレットには2001年日歯医学会誌からの引用で継続的な口腔ケアをする事によって肺炎発症率が下がったというデータが記されている。歯科医は詰め物をしたり、入れ歯を入れればそれで終わりと考えられている方も多いと思われるが、私は専門的な口腔ケアによって患者さんとの継続的な関わっていく事の必要性があると考えている。
 またよく噛む事によって、満腹中枢が刺激されるため肥満予防にもよいという記述もある。
 このように''よく噛むこと''には様々な恩恵がある。ただここで私はよく噛むということは「比較級だ」ということをお伝えしたい。それはどういう事かというと、8回しか噛まない人が10回噛んだら、よく噛んだという事であり、さらに15回、20回と増やしていけば、さらによく噛んだという事である。本によっては30回噛んでから飲み込む事を推奨しているものもあるが、やってみると分かるがなかなか難しく、最初から嫌になってしまうか、長続きしない。それでは何の意味がない。
 またよく噛むためには食材を選ぶ事も必要だ。ハンバーグやコロッケでは少し噛んだだけで、ぐちゃぐちゃになるし、スパゲッティーやうどんばかりではろくに噛む事ができない。そこに行くと日本食は自然と噛まなければならないものが多い。またカレーなどでも具材を大きめに切っておけば、自然と噛む回数が増える。一言お断りしておくと、ハンバーグやコロッケ、スパゲッティーを食べるなと言っているのではない。現在のような変化した食生活の中で、それらを食べないでいるという事は難しい。少しづつ日本食を増やすなり生野菜を付けあわせたり、それぞれに工夫をすればいいのではないか。
 このブログを読んで何かひとつでもいいなと思う事があれば、少しづつ取り組んでいただければいいのではないかと考えている。



 
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