2011年01月22日
インターネット社会における日本歯科医師会および学会のあり方 レントゲン被曝に関して
 患者さんで、レントゲン被曝に関して気にされている患者さんは多い。昨日来院された患者さんもそんな一人であった。
 私は「歯科用のレントゲンの被曝量はそんなに心配する必要ありませんよ」とお応えした。
 それは事実であってこのごろよく使われているCTに比べずっと少ない。ただこの被曝量に関しては、どのリスクと比較してかという事をよく考えなければならない。CTによってガンやその他命に関わるような病気が見つかるのであれば、撮影するリスクより、撮影しない事のリスクの方がずっと大きいからである。
 歯科用レントゲンやパンラマ写真などもその必要性に応じて、歯科医師は撮影している。また歯科用レントゲンによる放射線量はきわめて小さく、ほとんど危険性はない。したがって歯科用レントゲンにあまり神経質になる必要はないと思う。
 しかし、そうは言うものの気になるのが患者さんの心理であると思う。例によってグーグルで歯科用レントゲンの被曝について検索すると、患者さんの相談室のようなサイトや歯科医院のサイトであって、日本歯科医師会や歯科放射線学会などがトップページに載ってくる事はない。もちろんそれぞれの先生が真摯にまた正確な数字をあげて質問者に接しておられる。しかし日本歯科医師会なり歯科放射線学会といった権威ある団体、あるいは専門医が応えるようなサイトを作るべきではないだろうか。

 
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2011年01月21日
DrBarkleyのこと
 Dr.Robert BarkleyはDr.Pankeyから教えを受けたアメリカ歯科医師の一人です。
 そしてDr.Pankeyと同様に、Dr.Barkleyもまた、多くのアメリカの歯科医師たちに影響を与えました。
 彼の著書にSuccessful Preventive Dental Practiceがあります。その序章には、彼の生い立ちや歯科医になってからの歩みなどが書かれています。Dr.Barkleyはイリノイ州の小さな町で生まれ、そしてその地で開業しました。よりよい歯科医療を行おうと多くの研修会に出席し、勉強を積み重ねていきましたが、その結果は患者さんの口のなかに多くの病気を見つける事となり、治療費の見積額が増えていったのです。その事で旧友たちからは「高い歯科医」と噂されるようになりました。ある日昔チアリーダーだった女性がDr.Barkleyの診療所を訪れます。彼女はあまり裕福でなかったので、控えめの治療費を見積もったものの、それでも高額なものとなり、次の予約日には現れませんでした。そして彼女がその後、Dr.Barkleyの診療所を訪れた時には、さらに悲惨な状況になっていたのです。
 その事に非常なショックを受けたDr.Barkleyは自分自身の診療について大きな改革をしていきます。タイトルのPreventiveとは予防的と訳します。
 私は彼の本を読んだとき、まさに自分自身の体験とそっくりだと思いました。私自身松本という小都市で開業しています。そして私の診療所には高校時代の先輩や同級生が通ってくれています。
 私が予防について繰り返し書いているのも、しっかりとした治療(欧米でスタンダードに行われている歯科医療)を行おうとすると必ずしも保険ではカバーできないところが出てきてしますのです。だから悪くなる前に来院していただき、また悪くならないように通院していただくという事が本当に患者さんにより負担をかけないですむからなのです。

 
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2011年01月19日
予防歯科とは痛くない治療の事です
 歯の予防というと皆さん、歯を磨きましょうとか甘いものは避けましょうといった事をイメージされると思います。あなたもそのように思っていませんでしたか?
 それは一次予防の事です。例えばインフルエンザであれば、マスクをしましょうとか、手洗い、うがいをよくしましょうといった事です。
 予防には一次予防、二次予防、三次予防の三段階があります。昨日お話ししたコンポジットレジン修復は主に二次予防で効果を発揮する治療です。(コンポジットレジン修復には見た目を改善する治療もあります。)つまり病気を早期に発見し、早期の段階で処置を行うという事です。
 多くの方が、注射や歯を削るなど痛みをイメージされ歯科医院に行く事をためらいます。また日本では、欧米諸国のように歯科医院は悪くならないためにいくところという考え方を持っておられる人が少ないので、痛くなってからなど自覚症状を覚えてから歯科医院へ訪れるので、どうしても麻酔のための注射をしたり、場合によっては神経をとるといった処置が必要となり、長期に通う事となります。
 もしあなたが痛くない治療をお望みなら、何も症状を感じていない今歯科医院に行く事をお薦めします。ただ、予防歯科を行っている歯科医院を選んでください。場合によっては、アーここに虫歯がありますといってその場で歯を削られてしまう事があるかもしれません。
 予防歯科に努めている歯科医院では、はじめにレントゲンを撮ったり、お口の写真を撮るなどして、次回にそれらの資料をもとにあなたに詳しく説明をします。ごく小さなムシ歯では適切なセルフケアとプロフェッショナルケアを行う事によって歯を削る事なく経過をみていくこともできますし、またそれより少し進んだムシ歯では専用の削る器具を使って、コンポジットレジン修復を行う事により、麻酔をする事なく痛みを感じないで治療を終了する事も出来るのです。(痛みの感覚には個人差があるので、かなりの痛がりの方には麻酔をする事があります。)
 新村歯科医院では、お口の健康度を数値化し、それを患者さんに提示し、理解を深めていただいた上で、お口の健康度のアップに努めています。そして一度作り上げた健康を維持していくために定期的に通院していく事をお薦めしています。それは歯科医院の''内科的''なかかり方です。それらすべてが予防歯科です。だから予防的に歯科医院を利用すれば、あなたが嫌いな''痛い治療''を限りなく避ける事が出来るのです。

 
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2011年01月18日
コンポジットレジン修復の一手 白い詰め物の話です
 今日はクインテッセンス出版の別冊「日常臨床で必ず使える コンポジットレジン修復の一手」の記事からご紹介したいと思います。
 コンポジットレジンとは主に前歯の小さなムシ歯などに使われる白い詰め物の事です。主に前歯の小さなムシ歯に使われると書きましたが、現在は材料の精度の向上により、奥歯の詰め物に使われたり、前歯のかなり大きな虫歯の治療にも使われるようになってきています。
 また削る器具にも工夫がされ、専用器具によって削る事により、ほとんどのケースで麻酔(注射)をする事なく処置が出来るようになりました。奥歯でも隣接面(歯と歯の間)からのムシ歯は以前はインレーと呼ばれる金属の詰め物をしていましたが、現在多くのケースでコンポジットレジンによって修復をしています。それにより削る範囲が小さくてすむ事、一回の処置で詰められる事。また女性の患者さんにとって、銀色などの金属色でないので、ほとんど自分の歯と同じように見える事など多くの利点があります。

 さて今回クイントの記事から紹介するのは、鶴見大学の秋本尚武先生の書かれている「コンポジットレジン修復の最新の潮流」という記事です。以下
「最後に、最新の知識と技術を持ってう蝕に対して低侵襲で審美的な治療を提供しても、この治療技術は現在の健康保険制度の診療報酬ではまったく見合わない」「私たち歯科医師は患者に最新の情報を伝え、患者の人生と健康に貢献できる最良の治療を提供したいものである。」P30
  CR修復自費料金(鶴見大学歯学部付属病院)
単純修復(隣接面を含まない)15.800円
複雑修復(隣接面を含む)  31.500円 p59

 大学人として、健康保険制度での診療報酬がまったく見合わない事や大学での自費料金について我々臨床家に公開していただいている事はありがたい事だと思う。しかしながら、大学人として、また学界を通じて広く国民にその実態を伝えてほしいと思う。
 ちなみにグーグルで「コンポジットレジン 自費」で検索すると、一面は患者さんの苦情相談か個人の歯科医院の症例紹介だけで、大学や学会でのコメント記事はない。
 私が自費について患者さんに説明しても、理解していただく患者さんは私の事を信頼していただいている方だけで、その家族、友人には必ずしも理解してもらっているとは限らない。単に高い歯医者、もうけに走っている歯医者と思われてしまう事もある。

 是非、大学関係者、学会、そして日本歯科医師会は健康保険制度における診療報酬(治療費)の実態について広く国民に伝える努力をお願いしたい。それが市井で真面目に取り組んでいる多くの歯科医を助ける事になり、結果として国民の健康に貢献する事につながるのだから。
 
 

 
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2011年01月17日
審美歯科とコスメティックデンティストリー
 Pankey Instituteが、そこで研修を受けた歯科医師の診療所の患者さん向けに発行しているOral Health Reportという小新聞があり、そこにLarry Burgessという先生が、Esthetic DentistryとCosmetic Dentistryについて寄稿されています。
 Esthetic DentistryとCosmetic Dentistryはそれぞれ審美歯科と美容歯科と訳す事も出来るかもしれませんが、美容に真摯に取り組んでいる業種の方に、美容という言葉が何か劣ったもののように受け取られる心配があるので、Cosmetic Dentistryはそのままコスメティックデンティストリーと表記する事にします。
 さてDr.Burgessは文中でCosmeticという言葉は、外観をより美しくするという意味があるのに対し、Estheticではより芸術的な美しさをもっているとしています。
 そしてFunctional Esthetic Dentistryという言葉を用い、単なる美的なものだけでなく、機能性といったものへの配慮についても記しています。機能とは食べる、話す、歌うといった事です。付け歯をしてそれらの機能が失われる事はないのでしょうか?
 またEsthetic Dentistryで美しい笑顔を作っていくためには、まず患者さんの歯科履歴や健康に対する関心事などについて話し合いをもった後、細かな検査を行い、さらには審美治療の前に歯周病などの治療を行い、また審美治療を行った後も定期的な検診の必要性についても述べています。そしてその事によって一度作り上げた美しい笑顔が保たれていくとし、その事の方が患者さんにとっての望みではないだろうかと述べています。
 美しさについての評価は個人的なものだとは思います。しかしながら一時的な流行で付け歯をして、その事によって口の健康が損なわれ、ムシ歯や歯周病を作り出しては、患者さんのためにはなりません。患者さんが本来もっていた美しさすら失われてしまう可能性があるからです。
 単に患者さんが望むからという理由だけで、付け歯治療を行う歯科医院は審美歯科治療を行っているのではなく、コスメティックデンティストリーを行っていると言えると思います。
 私たちは、健康と機能に裏打ちされた美しさを追求すべきであると思います。

 
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2011年01月15日
八重歯ガールと審美歯科 週刊新潮の記事より
 週刊新潮1月20日号に『間もなく決起集会も開かれる「八重歯ガール」が大増殖』というタイトルの記事が載っていた。
 記事によるとある歌手が審美歯科で施してもらった付け八重歯の写真をブログで公開してから口コミで評判になり、付け八重歯を希望する女性が増えたとのことである。
 記事には、八重歯の状態ではかみ合わせのバランスが崩れたり、ムシ歯になりやすいと書かれているが、わざわざ付け歯をするという事は、その場所にムシ歯や歯周病の原因であるプラークを停滞しやすくし、衛生環境を悪くするという事である。
 また文中には付け歯の値段としてタイプによって28000円あるいは4万3000円との記述もある。これを行っているのは歯科医なのであろうか?歯科医の仕事は口の健康の回復に努める事だと思うが、歯科医自らが口の健康を害する事を助長するような行為がはたして許されるのだろうか?
 昨日のブログでヒポクラテスの誓いについて取り上げたが、そこには自分の能力と判断に従って患者に利すると思う治療法を選択し、害と知る治療法を決して選択しないとある。
 歯科医の仕事は単なるファッションが口の健康に悪いという事を啓蒙すべき立場にあると思うのだが。

 
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2011年01月14日
イニシエーション 通過儀礼ということ
 成人の日からすでに4日程たちますが、ここで通過儀礼について少し触れておきたいと思います。
 通過儀礼をWikipediaで調べると出生、成人、結婚、死などの人間が成長していく過程で、次なる段階の期間に新しい意味を付与する儀礼。人生儀礼ともいう。イニシエーションの訳語としてあてられることが多いと書かれています。
 先日の成人式を伝えるニュースでは、いくつかの騒動があったことを伝えていましたが、一方で、成人となったことへの新たな決意を述べている若者の姿も伝えていました。成人の日の式典で新たな決意をもつということは、通過儀礼を終え大人として新しい段階に進んだという事が言えると思います。

 なぜ今回通過儀礼について取り上げたかというと、何日か前、ニュースでアメリカの医学校で卒業の際にヒポクラテスの誓いを読み上げるという記事を読んだからです。Wikipediaによると2004年以降は北米のすべての医学校で卒業式の際に読み上げられているそうです。
 このようにある種の誓いをして、医師として卒業していく事に素晴らしい通過儀礼の意義を感じました。

 
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2011年01月13日
予約制に対する誤解
 先日、近所の歯科医院に行ったが予約制だと断られたという初めての患者さんが来院された。あちこちムシ歯があり咬めないとの事で拝見し応急処置を行った。
 もちろん当医院も予約制である。ここで予約制について誤解があると思われるので少し記しておきたい。
 まず第一が歯科医院側の誤解である。予約制だから診療できないというのは明らかに間違っている。これでは予約制が単に医院側の都合で行われているように患者さんに思われてしまう。
 予約制とは患者さんにとって、治療の待ち時間がなく、効率的に診療を進めていくものであって患者さんにメリットがあるから成り立つシステムなのである。
 新村歯科医院では患者さんの緊急度に合わせて3段階に分けて対応している。基本的には電話での対応となるが、今回のように初めて来院された患者さんも同様に、緊急度に応じ、お待ちいただくか、また別の時間に予約を取っていただくか対応している。来院された時間帯で治療中の患者さんの処置内容によってはどうしてもすぐに応急処置ができないケースもあるからである。
 予約制を行っていくためには歯科医院側の診療方針が大切である。つまり、痛いところだけ、患者さんの気になるところだけを治療し、あとはまた何かあったら来てくださいというのではどうしても緊急処置が増えることとなり、予約時間も守れないこととなる。
 少なくとも全体的に口の中を診査し、その上で総合的に処置を行い、治療が終了した後も定期的な検診を行って、患者さんの口の健康状態を保っていくようにしなくてはならない。そのようにしていくと徐々に緊急治療は減っていく。もちろん患者さんにも、定期的な検診の意味を充分理解してもらう必要はある。それが歯科医院にとっての予防歯科的な対応の第一歩であると考える。
 しかし残念なことに医院の都合で、診療時間の空白を埋めることだけ考えた予約制をとっているところも多い。そのような医院では空白時間をなくすために、過剰な予約数を入れたりし、結果的に患者さんをお待たせすることになり、患者さんも予約時間など政治家の公約程度(今はマニュフェスト)にしか考えなくて簡単にキャンセルしたりする。そうするとそれを見越してまたオーバーブッキングの予約状態を作り出す。これでは悪循環であり、本来の患者さんのための予約制ではなくなってしまう。
 予約制の誤解を解くためには、まず歯科医院側が治療中心の診療から健康中心の診療に変わることが大切だと思う。

 
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2011年01月11日
伊達直人現象から考えた日本の未来
 朝のニュースを見ていたら、伊達直人現象について報道していた。
 伊達直人現象とは、群馬県の児童施設への寄付に始まって全国の福祉施設などに「伊達直人」を名乗る人物から、ランドセルや文具、現金などが送られている事柄をさす。
 このニュースを見て思ったのは、何か人の役に立ちたいと思っている人が少なからずいるという事である。ニュースで報じられる事はないが、もっと多くの人々が、施設への寄付行為をしたり、ボランティアを行っていると思う。これらの善意をもっと大きな形で社会に貢献するシステムとして作れないだろうか?

 昨今消費税を社会保障費に当てるなどの論議がされるようになってきている。ようやく民主党政権も埋蔵金などという幻想からさめて、実際的な予算編成について考えるようになってきたようだ。ただ消費税を10%アップしただけでは社会保障費をまかないきれないという計算もある。
 日曜日の討論番組で民主党の幹部の一人がヨーロッパ型の福祉社会を目指すというようなことを言っていた。言葉をオブラートでくるんだような言い方だが、ヨーロッパ型福祉社会の実現のためにはヨーロッパ並みの消費税に引き上げなくてはならない。スイスを例外とすれば多くの国で15%以上、スウェーデンなど北欧諸国では25%も払っている。どういった手順で15%以上の消費税アップの計画を立てるつもりだろうか?これについては、民主党だけでなく自民党も真剣に考えなければならないと思うがはっきり言ってかなり厳しい。
 ヨーロッパ型にアメリカ型を組み合わせたらどうであろうか。アメリカという国は寄付行為が盛んである。ビルゲイツなどの大金持ちが多額の寄付をしたという事はたまに日本のニュースでも報道される。
 寄付行為というものは、特定された対象へのものである場合が多いのに対して税金の場合では、自分の払ったものがどのように使われたのかは具体的には分からない。
 国民の税金が、政党助成金なる名目のために使われ、それがいつの間にか政党の解散の際にうやむやとなり、それを原資として自分の手下に500万ずつ配ってみたり、自分の選挙区から遥か離れた沖縄に土地を買ってみたりではやりきれない。
 福祉施設で働く職員のため、小児医療の充実のため、歯科医療の崩壊を防ぐためなど具体的な名目に寄付をしてもらい、それに応じて所得税、住民税などの減税措置を行うようにしてみたらどうであろうか。
 税というものは本来払いっぱなしのものではなく、教育、福祉、医療、道路などのインフラの整備などいずれ何らかの形で戻ってくるものである。しかし自分のある機関や団体への寄付という事であればそれが明確となり役に立ったという実感がわきやすい。
 消費税を目的税化するというのも分かりやすさを求めての事だと思うが、寄付行為の方がもっと分かりやすいし、その寄付をした人に充実感を持たしてくれるのではないだろうか。しかもそれが社会保障のために使われるというのであれば一石二鳥のアイデアであると思うのだが皆さんはどのようにお考えだろうか?

 
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2011年01月07日
父の命日に思った事
 昨日1月6日は父の命日であった。平成8年の1月6日に逝去、68歳といささか短い生涯であった。
 その頃はまだ駅前でテナント開業をしており、また6月に予定されていた「長野県歯の健康を守る県民の集い」の打ち合わせのため年明けから連日の会議で、ビルのマンションに泊まっていた。7日早朝の電話で急いで家に帰るとすでに父は亡くなっていた。前日の午前中まで仕事をしていたが、気分が悪いと言って午後の診療を休み、早めに就寝したが、6日の朝が母がおこしにいくとすでに息がなかったという。突然死であった。
 父は今から40年以上前のドラマ「おやじ太鼓」そのままの頑固おやじ、雷おやじで、家族のみならず、親族や患者さん、出入りの歯科業者や多くの歯科医師の先生に知られた存在であった。
 しかしおやじ太鼓の主人公がそうであったように、優しい面もあったようだ。葬式の日、何人かの患者さんが参列されている姿が分かった。また父の死去に伴って私の診療所にも訪れ、診療台の上で涙ぐむ患者さんもいらした。はたして自分はそのような存在になれるかとふと思った記憶がある。


 
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