2011年01月25日
移動図書館で「赤ひげ診療譚」を読む
 私はほぼ月に一度の割合で、H.D.Aの研修会のため、東京か大阪のどちらかに出かける。
 そんな時、列車のなかは格好の「移動図書館」となる。
 今回は以前に読んで、また読み直そうと思っていた山本周五郎の「赤ひげ診療譚」をもって出かけた。
 今でもたまにマスコミで「〇〇の赤ひげ」などと開業医が取り上げられる事があるし、以前には歯科医のなかにも「赤ひげ」のようになりたいなどと書かれたものを見ることがあった。その時不思議に思ったのは、彼らは赤ひげという小説を読んだことがあるのだろうかということである。
 赤ひげは「小石川養生所」という幕府直轄の医療機関に勤務する医師であって開業医ではない。そしてこの「小石川養生所」は貧しい人たちのための医療機関である。今でいえば国立の福祉医療施設に勤務する教授といったところか。そして幕府の高級役人から、その弱みに付け込んでと言っていいかもしれないが高額な治療費をとっていたりする。もちろんそのお金は自分の懐に入れるのではなく貧しい人たちに与えている。
 このようなことを現在行えば医療法違反に問われる。

 このような理屈はさておき、「赤ひげ診療譚」は非常に素晴らしい小説である。そして若い頃に読んだ時とはまた違った感慨をもった。

 
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