2015年07月01日
その症状本当に「顎関節症」?

 N.H.Kテレビテキスト「きょうの健康」7月号の、なんでも健康相談というコーナーに『「顎関節症」と診断されました』という記事が載っていました。

 記事によるとこの患者さんは『1年半くらい前、歯の治療で口を大きく欠けている最中に、右顎がガクガクとして痛みが起こり、「顎関節症」と診断されました。』とあります。

 回答者は慶應義塾大学、口腔外科の和嶋浩一先生です。和嶋先生は、日本顎関節学会に属し、専門医と指導医の資格を持つこの分野のスペシャリストのおひとりです。

 日本顎関節学会ではホームページを作成し、一般の方向けにかなり詳しく情報提供をしています。また一般歯科医に向けて「顎関節症ガイドライン」を作成し啓蒙に努めています。

 

 ただ以前このブログでも書いたように、日本顎関節学会の顎関節症の分類には、問題があるように思えます。そのことは学会でも認識していて、改変が行われたようですが、学会が発行した書物を見る限りあまり変わったように思えません。学会の分類を踏襲し一部改編を加えるより、世界的な分類をそのまま使った方が分かりやすいと思います。そしてそれを多くの日本の歯科医に伝えるべきだと思われます。

 それを踏まえた上でいうと、一般の先生が、この患者さんの症状を見て顎関節症と診断したのは、日本の権威ある学会が発表している分類と処置法に従えば無理もないことと思われます。

 私は患者さんに相対するときは、分かりやすく説明するために、顎関節症という言葉を使いますが、鑑別診断を行うに際してはこの言葉は使いません。Tempolomandibular Disorders(TMD:側頭下顎障害)という言葉を使います。そしてこれについては、ケンタッキー大学のジェフェリー・オケソン先生が分類から診断法、治療法について書かれています。

 それに従ったうえで診断すると、その治療法も全く違ってきます。それらについては、また後日に


 
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