2017年10月20日
良質なコンポジットレジン修復のために必要なこと

 QDT という雑誌の2017年10月号に鷲野崇先生が「CR修復においてラバーダム防湿は本当に必要なのか?」という記事を寄稿されています。(注:CRとはコンポジットレジンのことです。)

 そして「高湿度環境が接着界面に及ぼす悪影響」という章の中で、2001年にBesnaultがクリアフィルメガボンドとスコッチボンドマルチパーパスプラスを使った接着強さの実験を紹介しています。

 ちなみに当医院で使用しているのはクリアフィルメガボンドであるので、そちらの実験結果のみを紹介すると、相対湿度30%環境での接着強さが平均値で約26MPaであったのに対し、相対湿度96%環境下では約9Mpaであったとのことである。つまり高湿度では約3分の1に接着強さが落ちてしまうのだ。

 そしてPlasmanらの行った口腔内の測定によると相対湿度は78〜94%に達するという。つまり何らかの対策を行っていないと、接着強さが3分の1に落ちてしまうことになり、それが痛みや脱落の原因のひとつになります。

 そこで、著者が口腔内の湿度対策として、勧めているのがラバーダム防湿というゴムを使用しての方法である。これを使用することによって室内の湿度と同程度まで低減られると記されています。

 また特殊なバキューム装置を使用してもほぼ同程度の効果があるとも記しておられる。

 

 ちなみに日本では多くが綿花を使用した簡易防湿法が用いられることが多いが、この方法ではほとんど湿度コントロールの役目をはたしていないとし、唾液の排除を仮に行えたとしても、呼気による湿度の管理はできないとしています。

 

 当医院では10くらい前までは臼歯部(奥歯)ではほとんどインレーあるいはアマルガムといった金属による修復を行っており、コンポジットレジンは前歯のみで使用することが多かったです。そのためにラバーダム防湿を行うことはなかったが、臼歯部にも行うケースが増えた現在はほとんどのケースでラバーダムを行っています。

 前歯では呼気による湿度の影響もあまりないのではと考え、使用しないケースが多いことをお断りしておきます。

 またラバーダムが行えないケースでは、アイオノマーという充填材を使用しています。

 


 
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